【株】建設業の銘柄分析/検討【高配当ポートフォリオ】

前回の記事で高配当ポートフォリオを作ると宣言し、スクリーニング機能を使って東証33セクターの中から候補となりそうな銘柄を抽出しました。
おさらいとなりますがスクリーニングの数値は以下の通りです。

PER(株価収益率)     ~15
PBR(株価純資産倍率)   ~1.05
ROE(自己資本利益率)   10~
ROA(総資産当期利益率)  5~
配当利回り         3.7~
自己資本比率        40~
流動比率          120~

初回となる今回は、セクターごと候補銘柄の分析/検討として、建設業をピックアップします。

こちらもおさらいですがスクリーニングで抽出した銘柄の絞り込み結果は以下です。

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スクリーニングの実行結果

 

まずは業界分析。

建設業という業界のイメージは長谷工のようにマンション建設もしくはタマホームのように戸建て住宅の建設とばっかり思っていたのですが、プラントや高層ビル建設、そのビルの外壁など実に多種多様でした。

マンションや戸建て住宅ですが、消費税増税で大分売り上げが落ち込んだところにコロナで相当厳しそうです。
東京商工リサーチ(https://www.tsr-net.co.jp/)によると、新型コロナによる事業活動への影響アンケート調査では3月実施時点で影響なしだった115社が4月から5月での第4回調査で28社に急減しました。実に98%以上の会社がコロナの影響ありと回答したことになります。

ただ、私の家の周り(23区ではない東京都)では、結構なスピードで新築マンションの建設が進んでいます。
中には900戸以上の巨大マンション群のようなものもありましたが、モデルルームがなくなったのを見るとほぼ完売したのでしょう。
(売れ残りは内見で販売しているかもしれませんが。)

また、都内の色々な場所を見ても大きな建築中のビルや基礎工事中の工事現場がそこら中にあります。
この先10年で消えてなくなる業界ではなさそうですね。

先ほどの影響調査でも、5月末~6月実施の第5回結果で影響なし115社に復活しています。

アフターコロナでは、リモートワークなどで都心に出勤する必要がなくなるかもしれません。土地が確保しやすい郊外や地方に新しいビジネスチャンスがある可能性も低くはないでしょう。

それでは各社の配当性向を見てみます。

利回り 配当性向
長谷工コーポレーション 5.14% 41.85
高橋カーテンウォール工業 4.05% 72.78
富士古河E&C 3.99% 18.3
日本国土開発 5.37% 30.08
レイズネクスト 3.88% 40.41

 

一見して高橋カーテンウォール工業の72.78%が高いですね。しかも利回りが群を抜いているならまだしも、他が優秀なだけに霞んでしまいます。

これは今年の業績が落ち込んだことに起因しており、昨年の実績で見れば21.1と問題ないレベルではあります。

とは言え業績がここまで悪化することもありうるビジネスモデルという事で今回は一旦候補から除外します。

他の企業の検討結果がいまいちであれば復活しましょう。

数値だけで見れば富士古河E&Cが優秀です。配当性向20%以下で4%近い高配当ですので、経営陣のマインド一つで増配が見込める可能性があります。

では売上高と一株当たり純利益、配当金の推移を見てみます。

 

uriagedaka-haitou
直近3年間売上高・一株利益・配当金

 

財務健全性はどうでしょう。

財務健全性-建設業
財務健全性-建設業

 

赤字は3年連続で前年度より業績が良くなっている個所です。ただし、黒字のところも特に問題があるようにも見えませんね。
また、レイズネクストの2021年3月の配当は47円への減配が発表されています。

業態はどうでしょうか。

長谷工コーポレーション

長谷工はCMでもお馴染みのマンションの施工会社です。
ご近所の長谷工の物件は相場に比べて価格が低く抑えられているお買い得物件が多いように思いました。
新築の友人宅にも行きましたが、だからと言って安普請という事もなく、公共スペースもおしゃれな感じでした。
まぁこれはデベロッパーのセンスかもしれませんね。

景気に左右されやすい中で安定性のある銘柄とは言えませんが、ネームバリューもあるので比較的安心感はあるのではないでしょうか。

富士古河E&C

続いて富士古河E&C。

事業内容はプラント設備工事、空調設備工事、内線電気工事/建築・土木工事、電力送電工事/情報通信工事、海外工事となっております。

こちら目を引くのは空調設備工事ですね。Withコロナという新しい世界で結構期待できる事業ではないでしょうか。
全体の30%ですが、伸びしろはあると思います。

また、情報通信工事ということで、こちらは今後期待大の5G関連と呼べるのでしょうか。
実績・業態ともに今のところ目立った短所は見当たりません。

レイズネクスト

続いてレイズネクスト

事業内容はほぼプラント専門の建設・改修/改造を行う「エンジニアリング」と定期修理を行う「メンテナンス」となっていました。
富士古河E&Cのプラント設備工事と被るので、分散投資の意味でここは一旦リストから除外します。
数値は悪くなかったと思うので、状況のウォッチは今後も続けたいと思います。

日本国土開発

そして日本国土開発

事業内容は道路・橋・鉄道・港湾・ダム・河川・上下水道など社会インフラから集合住宅・事務所・レジャー施設までかなり幅広い施工実績を持つものでした。また、震災復旧工事や環境に配慮した取り組みにも力を入れているようで好感の持てる会社ではないでしょうか。

 

東亜道路工業

最後に、ふるいの段階で候補から外れてしまった銘柄の中でちょっと異色の「東亜道路工業」をピックアップ。
どの項目も上位5位までに入っていないので目立ちませんが、配当利回り、ROE、ROA、自己資本比率、どれをとってもまあまあですし、道路専門でやってる感が伺えて良さそうに思います。
ちょっと中身を見てみましょう。

東亜道路ファンダメンタルズ
東亜道路工業の指標

 

売上高も順調に右肩上がりに上昇、それに伴って配当も上昇、有利子負債倍率は減少といいことづくめに見えます。

2020年の配当は特別配当20円を上乗せして140円のようですが、2021年は150円に増配予定です。
それでいて配当性向も25.35%とむしろまだ余裕がありそう。

官公需比率が高いというのが高配当投資には向いていそうですよね。倒産リスクが低そうな感じがします。

まとめ

スクリーニングにより5つ残った銘柄および建設業界を検討しました。
配当性向がいまいちだった会社や事業内容に被りのあった会社を除外し候補のリストからは3銘柄に絞り込みました。
がしかし、候補の段階で気になっていた銘柄を見てみることでリスト入りにふさわしいと判断します。
結果として

長谷工コーポレーション
富士古河E&C
日本国土開発
東亜道路工業

の4銘柄を高配当ポートフォリオ入りしたいと思います。

 

※この分析に使用した指標は6/13時点の値です。現在のものとは異なります。

※投資は自己責任でお願いします

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