【貸株のすすめ】メリットだらけ【長期保有・塩漬け】

いきなりですが「貸株」って何でしょうか。

長期保有銘柄は、年間1回または2回の配当を受け取ることで利益を出していると思いますが、証券会社に現物株を貸すことで金利を受け取ることが出来るようです。これが貸株です。

我々現物保有の銘柄を借りた証券会社は、貸株金利よりも高い金利で今度は信用売買の元として貸し出す訳ですね。

トウシル記事より貸株の仕組み

楽天証券トウシルの記事より、貸株の仕組み図

貸株金利ってどのくらい?

上図のように、証券会社は貸主に払う金利より高い金利で貸し出すことで利益を出す訳です。

そして証券会社から株を借りた側が何をするかというと信用取引ですよね。

なので、値動きの激しい(ボラの高い)小型株などは、信用取引の需要が多い訳ですから、金利も高く設定されています。

こちらは2021/9/11時点、楽天証券の金利一覧の上位銘柄です。

金利ランキング上位

ランキング1位のマクアケは驚愕の15.25%

上位にいる銘柄は、1年間貸株して株価自体がどうなるか怖いものもありますが、もしも順調に値上がりするのであれば、キャピタルゲインに貸株金利のダブルで利益を出せますね。

逆に、流通量の多い大型株や信用取引の需要があまりない銘柄は最低金利が設定されているようです。

ちなみに最低金利は楽天証券の場合0.1%です。100万円分の株式を0.1%で貸し出すと、1年で1,000円ですが、大手銀行の利息は10円ですから十分高いと思えます。

例えば高配当銘柄などは、ずっと保有してインカムゲインである配当金を安定して計画的に貰う予定という方も多いと思います。

もしそうならば、貸株金利で配当に0.1%の上乗せって結構魅力的ではないでしょうか。

配当金・株主優待について

株保有中のインカムゲインである配当金は、貸株をしているとどうなるのでしょうか?

貸し出し中、株の名義人は証券会社または第三者になるらしく、このままでは配当を受け取ることが出来ません。

しかし、配当から税金を引いた配当金相当額を証券会社から受け取ることが出来るそうです。以下図は楽天証券の場合。

配当金の流れ

これなら同額を受け取っているので問題ないですね。

では株主優待はどうでしょう。

貸株には次の3つのパターンがあるらしく、2、または3を設定すればちゃんと受け取ることが出来ます。

1 金利優先
2 株主優待優先
3 株主優待・予想有配優先

1 金利優先は貸しっぱなしで権利確定日も名義が戻ってきません。配当金は上で説明した通り相当額を受け取れますが株主優待は貰えません。
権利確定日もずっと貸しているので、その分金利が多くもらえます。そして権利確定日の1日分は通所の5倍の金利が貰えるボーナスがあります。
つまり、株主優待を設定していない銘柄は金利優先を設定しても問題なく、最大の利益を享受することが出来ますね。

2 株主優待優先は権利確定日に自動で株が自分の口座に戻り、優待の権利を取得出来ます。権利日に貸し出しが解除されるので、1よりは貸株金利は低くなります。株主優待が設定されていない銘柄は1と同じ動きになるようです。

3 株主優待・予想有配優先は何でしょうか。2の株主優待優先とだいたい同じで、2よりももっと細かい条件で口座に戻ってくるという感じでしょうか。楽天証券の場合以下のような説明でした。

・東洋経済新報社提供の株主優待情報がある銘柄
・東京証券取引所の運営するTokyo Market Information(TMI)提供の予想配当情報が有配(配当あり)の銘柄
・予想配当情報が未定で、直近過去2回の権利確定日において、1回以上有配(配当あり)の実績のある銘柄
・予想配当情報が未定で、過去の確定配当情報がない銘柄(新規上場銘柄など)

株主優待情報がない場合ですが、表であらわすと以下のようになっています。

CASE3表

この辺ちょっと複雑なので、証券会社の案内ページをよく確認することをお勧めします。

売却時の縛り

貸株をする上で最も気になることは、貸株中の売却は出来るの?という事でしょうか。

貸株中の銘柄が急騰した、入用で現金化したい、など理由は様々ですが直ぐに売りたいという事は良くあることです。

そんな時、貸株をいったん解除して口座に戻して、なんてやっていると希望する価格で売却出来ないかもしれません。

もしそうなら、本当に長期保有銘柄しか貸株するメリットは無いということになりますが…

なんと貸し出し中だからといって即売却出来ないかというとそんなことはなく、いつでも好きなタイミングで売ることが出来るようです。

貸株中も配当(配当金相当額額)は証券会社から支払われますし、利息が支払われる。やり方を選べば株主優待まで貰える。売却も自由。

良いことずくめのようなこの制度、そんな美味しい話何か裏がありそうですよね。ではデメリットの方はどうでしょう。

デメリット

1 楽天証券が破綻した際戻ってこない
2 長期保有の特典などに厳密に対応出来ない
3 配当金相当額は配当控除および株式譲渡益との損益通算が出来ない
4 そして何より…

1ですが、貸株の契約は「消費貸借契約」となり楽天証券から貸主へ担保の提供はされません(無担保取引)。

貸し出し中に楽天証券が破綻した場合そのまま戻ってきません。

まぁ楽天証券やSBI証券を始めとする大手証券会社なら直ぐに潰れるということはないでしょう。

2は、株主優待優先か株主優待・予想有配優先を選んでおけば一見すると大丈夫そうなのですが、銘柄によっては権利確定日以外にも保有しているかをチェックしているものもあり、その日に貸株中で保有していないと長期保有から外れてしまうというものです。

これはかなりのデメリットですね。3年保有で優待のランクが上がると思っていたら途中のチェックポイントで保有と見なされず計画が狂ってしまうでしょう。

解決策としては、例えば100株は貸株しないで保有しておき、残りの数量を貸すという事で対応できます。

長期保有特典の条件が1,000株を3年などの場合は当然その条件に合わせる必要があります。

3は配当控除を申告している場合適用されなくなるので痛いですが、そもそも配当控除を受けて得をする人は限られているので確定申告している人は少ないのではないでしょうか。

この辺りは個人個人で違いますので詳しく調べた方が良いですね。

4はあまり気にしなくても良いかもしれませんが、貸した株はどう利用されるかという事ですね。

最初の図解の通り、貸し出し中の株は誰かの信用売買に使われることになります。

貸主は貸株をすることで金利を受け取ることが出来ますが、保有している銘柄が貸株によって空売りに使われ、結果として株価を下げるリスクに繋がりかねない訳です。

とは言え、自分がやらなくたって誰かが貸せば同じことですし、個人が所有している株数などが及ぼす影響はたかが知れてるでしょう。

空売りは時に踏み上げと呼ばれる上昇相場を作りますから、デメリットだけではありませんしね。

まとめ

貸株は証券会社が貸主に払う利息より高い利息で又貸しし利益を上げるものであり、信用売買の需要が多いが弾が足りないという銘柄に高い金利が設定されています。
私の場合楽天証券は基本長期保有がメインという事もあり、保有銘柄のほとんどが最低金利0.1%が設定されていました。
しかし、たかが0.1%、されど0.1%

私の場合、長期保有特典がある銘柄の最低株数は貸株せずにそれ以外を貸株したとして、およそ1,800万円分の貸株が可能ですので、0.1%でも18,000円。税引きで14,000円超のインカムゲインの上乗せとなるのです。

もちろん通常貰える配当金以外での話ですから、貸株することの有効性はご理解いただけたと思います。

もう何年も塩漬けのまま、なんて銘柄があるのであれば、貸株することを検討してみてはどうでしょう。

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