株式投資でやってはいけない事の1つ「塩漬け」
良く言われることですが、初心者には何故やってはいけないのかいまいち分かりません。
そこで自分なりにシナリオで考えてみて、その理由が腹に落ちたので共有します。
同じように悩む初心者の方の一助になれば幸いです。
初心者が、購入した株の下落に直面してまず最初に思うのは、「いずれ上がるならこのまま持ち続けてもいいじゃないのか?」ですよね。
そして損が膨れ上がって次に「売って損が確定するまでは損してないし」ですね。もはや開き直りですが。
確かにどちらの意見も一理あります。それでも何故塩漬けはNGと言われるのでしょうか。
では株を購入して、その後の色々な値動きについて
「損切り」
「損切りから再エントリー」
「ナンピン買い」
の4つのケースを値動きのパターンと合わせて考えてみましょう。
※ナンピン買いとは既に持っている株の株価が下がったときに買い増しすることですね。
こちらも初心者が手を出して失敗することが多い手法と言えるかもしれません。
それでは株の値動きのパターンごとに見ていきます。
・パターン1:下落するも元の株価まで復活する
さて、そんなにきれいなV字回復があるかどうかは置いといて、1,000円から500円まで下落してまた1,000円まで回復したとします。
配当金は1株30円として仮置きしましょう。
まずは塩漬け。

株価1,000円で100株購入して投資額は10万円。1年間保有したら3,000円の配当金を手にします。
税金は考慮なしで。最終的に1,000円まで回復しているので含み損益はありません。
次に損切り。

800円まで下落した際に損切りしたとしましょう。
20,000の損が出ました。塩漬け以外は売却するので配当金は一旦無視します。
続いて損切り&再エントリー

同じように800円で損切りして2万円の損を出した後、700円まで落ちた所で再度購入します。
80,000円の現金から70,000円で再エントリーするので10,000円残り、最終的に110,000円になるので利益が10,000円出ています。
最後にナンピン買い。

株価700円、500円で100株ずつ買い増しします。
投資額は22万円、売却時のキャッシュは30万円なので利益は8万円ですね。
どうでしょうか。
横に並べてみましょう。

株価がいずれ元の価格に戻るとしても、利益という点では塩漬けは下から2番目の成績です。
そりゃいずれ回復するならナンピンが有利ですよね。
では次のパターン
・パターン2:下落から少し回復するものの購入単価までは至らない
500円まで落ちた株価が700円までしか上がらなかった場合で考えてみます。
個々は割愛して横並び比較のみです。

塩漬けの場合、確定しないので含み損で考えます。含み損は3万円ですね。
3,000円の配当金は貰えますがトータル27,000円の損と焼け石に水状態です。
損切りパターンは変わらず-20,000円の実損です。
損切り&リエントリは700円で買い直しならここがプラマイゼロで2万円の損。
500円で買い直せていればトータルでプラマイゼロまで持って行けたという事になりますがそう都合よく行かないのでマイナス2万円のままとします。
ナンピンは700円と500円で買い増しできれば1万円の実損で済んでいますね。
700円でなく800円で買い増ししていればもう1万円損しています。
どうですか。回復しない場合で考えても、塩漬けの成績は一番下になってしまいました。
・パターン3:下落から回復せず
ではでは、一度も回復せずに400円まで下落してしまったらどうでしょう。

塩漬けは6万円の含み損となります。
損切りは変わらず2万円の実損、700円でリエントリも5万円の実損、
ナンピンは目も当てられない10万円の大損となりました。
やはりナンピン買いは手持ちの株数が多くなる分リスクも抱えますね。
初心者には向かない投資方法とも言われています。
このシナリオでもどうでしょうか。塩漬けはまたしても利回なら最下位、金額でも下から2番目の成績となってしまいました。
ここまで見てきて、塩漬けはどのシナリオにおいてもベストの手段とは言えないばかりか、下手をすると最悪に近いパフォーマンスしか残せないことも分かりました。
さらに、見せ場の無かった損切りだけのケースに注目します。
この銘柄Aにおいては、どのシナリオでも2万円の損失で終わっていたパターンですが、手元に8万円の現金が残っているのも事実です。
であれば、この銘柄に固執することなく、もっと良いパフォーマンスの銘柄Bに8万円(あるいは追加投資して)再投資することが出来る訳です。
今まで損切りして2万円の損失だけで終わっていましたが、実態は以下のようになるのです。

回復する見込みのない銘柄Aを損切りし、伸びしろのある銘柄Bに切り替えていて、実はパターン2が最も優秀な成績を残していたというケースは多いでしょう。
・まとめ
以上のことから塩漬けを続けることは、たとえ元本まで復活したとしても、他の手段にパフォーマンスで勝てないばかりか手元に現金が無いのでフットワークも重くなります。
さらに、実際に損を出していないので、損益通算にも使えず節税にもなりません。
極端な話、800円で損切りして800円ですぐに買い戻せば、2万円の損失した事実が残ります。
配当金を受け取る際に塩漬けのままだと20.315%の税金が掛かりますが、損切り&買い戻しの場合控除のケースもあります。
※手数料は掛かります。
含み損の度合いにもよりますが、現実的にその損金が取り返せるほどV字回復するのはまれでしょう。
一旦手持ちのキャッシュにして、もっと良い銘柄に乗り換えるか、同じ銘柄を安値で買い直した方がお得に思えないですか?
保有継続年数によって優待内容が変わるなら考えものですが、やっぱりセオリー通り塩漬けより損切りした方が良い結果になりやすいと言えるのではないでしょうか。
※もちろん損切りしたとたんに株価急騰なんてこともあるので、持ち続けるか手放すかは自己判断でお願いします。