マラソンを完走する上で必要な要素の1つに「持久力」があります。しかし、そもそも持久力とは何でしょうか。
そんなの長く走れることに決まってる?確かにそうですね。
ではどうすれば長く走れるのでしょうか。長く走る上で必要な要素は何でしょうか。
私は持久力を構成する要素は以下の3つであると思っています。
・長く走っても息切れしない心肺能力
・長く走っても折れないメンタル
1つずつ見ていきましょう。
・長く走っても故障しない足腰(特に膝)

初めて外を走った時、まず最初に根を上げたのは足ではないでしょうか?とくに膝です。
それもそのはずで、走るときには体重の3倍を超える衝撃が膝に掛かっているのです。
最初の頃はまず体重が重いです。体重が1kg重ければそれだけ倍々に衝撃が加算されるのです。
そしてそれを支えるだけの筋肉が付いていません。いわば無防備状態でメガトンパンチを膝関節が受け続けている状態です。
・ではどうすれば根を上げない膝になるか
「何だ筋肉か、だったら簡単」とバーベル担いでスクワットしようとしているあなた。
そうは問屋が卸しません。
筋肉には速筋と遅筋というものがあり、スクワットやデッドリフト、ベンチプレス等で鍛える筋肉は速筋の方なんです。
速筋は瞬発力、無酸素運動で一気に力を発揮する際に必要な筋肉で、長い間力を出し続けるのは遅筋なのです。
遅筋を鍛えるには…
予想通りかと思いますがやっぱり走ることなんですね。
また長い期間(1年とか2年とか)を走り続けていれば、必ず体重は落ちます。
体重が落ちれば落ちただけ膝への負担が減りますので身体的な持久力の向上に繋がるはずですね。
走ること以外で、強い足腰を作るとしたら。自宅でできて器具のいらない体幹トレーニングです。
体幹が強いと、長友に褒められるだけでなく、正しいフォームを維持しやすく、着地時にぶれないようになるので膝に限らず故障がしにくい身体になります。
毎日走ったって故障の元ですから、練習は少なくとも1日おきにして、間の日は体幹トレーニングを取り入れましょう。
・長く走っても息切れしない心肺能力
最初に走った時、膝より先に呼吸が苦しくなって歩いてしまいましたか?
過去の運動経験が少ない人、若いころ部活で走ったり泳いだりしたことがない人は心肺が先に根を上げたかもしれません。
心肺機能も持久力を語る上では外せない要素ですね。
・ではどうすれば根を上げない心肺になるか

1.呼吸法
2.心肺機能そのものを強化
1.呼吸法ですが、息が苦しい時、人は酸素を吸おう吸おうとして息を吸い込みます。
これが実は逆で、吸えば吸うほど肺の中はパンパン、新鮮な酸素を取り込めていないという事になっているのです。
古い呼気で埋まっている肺は、それ以上新鮮な酸素を取り込めず、ますます苦しくなっていく訳です。
苦しい時、まずは肺の中の空気を出来るだけ絞り出すように呼吸しましょう。
昔教わった2回吸って2回吐く、すっすっ、はっはっ。
これで説明するとすっすっ、はっはーーーーっです。はーーーーっの部分で肺の息を全て出し切ります。
絞り切った肺に勢いよく酸素を取り込むので、すっすっも力強く吸って下さい。
鼻で吸ってたら間に合わない場合、口で吸っても構いません。
これで息苦しさは結構解消されると思います。
2.もう一つの心肺機能そのものを強化ですが、こちらもトレーニングで改善できます。
呼吸法により肺に酸素を取り込んだとしても、その酸素を全身に送り込む力が弱い場合、息苦しさを感じます。
この機能がどういうからくりで行われるかは分かりませんが、VO2max値(酸素最大摂取量)という数値で計ることが出来ます。
何やら小難しい単語ですが、要は取り込んだ酸素を効率よく送り込んでいるかの数値になります。
この値が高ければ高いほど、1回の呼吸で酸素を全身に送れているのです。酸素がなければ細胞はエネルギーを作れませんからね。
ではどうやったらVO2max値が向上するのでしょう。普通に走ってトレーニングしても徐々に向上していきますが、
効率良くトレーニングするのであればお勧めはLSDです。沢尻は関係ありません。
Long Slow Distance(長い時間ゆっくり長距離)の頭文字を取った練習法です。
LSDを行う際、ゆっくりとは時速どのくらいという説明をするサイトもありますが、正しくは心拍ゾーンです。
速度だと、個人個人の能力差によってゆっくりの人もいれば速い人もいるからです。
必ず心拍数で脂肪燃焼ゾーンをキープするように走りましょう。
※脂肪燃焼ゾーンとは、自分の最大心拍数の60%~70%程度の負荷です。
その状態をキープで2時間~3時間走ります。距離は勝手に稼げるので気にしなくて良いです。
最悪心拍数が計れない状態であれば、時速8~10kmの間でしょうか。2時間で20km以上走るはずです。
この時注意するのは、通常走る練習とフォームは変えないことです(遅いので若干ピッチ走法にはなります)。
ゆっくりだからと言ってダラダラ走っては無意味です。
きちんと前傾を取り、腕を振り、胸を張って顎を引く。普段がフォアヒットならLSDでもフォアヒットで走ります。
要は普段走る時と同じ状態で遅く走ることです。
LSDがVO2max値に対してどのように機能しているかは例のごとく不明ですが、毛細血管レベルで酸素を送り込むほど強くなるそうです。
練習自体はきつくない、というか楽なんですけどね。
むしろきついのは精神的な部分で、いかにもランナーですというバッキバキの格好で走っているのにすこぶる遅く、昨日今日始めましたという
腹の出た初心者おじさんランナーや、下手したら早めのウォーキングの方に抜かされることです。
違う、違うんだ、これはLSDと言って遅く走るれっきとした練習法なんだと心の中で叫んでも当然伝わりません。
そんなマニアックな練習なんて誰も知りませんから。
まぁ実際他人のことなんて皆さん気にしていないんですけどね。
呼吸法とLSDで鍛えた心肺機能、これで息苦しさの面で持久力が向上するはずです。
・長く走っても折れないメンタル
最後に根性論かよと思われるかもしれません。
が、どんなに身体や心肺機能を鍛えても、やっぱり痛いときは痛いし苦しいときは苦しいんです。
特に距離の決められている大会だとなおさらです。
練習であれば例えば15km走ったところで膝が痛くなったらペースを落として無理なく走るかそこで練習を切り上げるでしょう。
しかし本番はゴールまで走り切らなければなりません。終盤は、痛いし苦しいし歩いちゃおっかな…という葛藤と戦い続けることになります。
ここで実際に歩いてしまうか、最後まで走り切るか、これだって十分持久力と言えるでしょう。
・メンタルでの持久力を鍛えるには。
どうやったらメンタルでの持久力を強化できるのでしょうか。根性論に近いので、これだという方法はないのかもしれません。
私が練習の時に実践しているのは、苦しくて歩きたいときに、闘病中の父の姿を思い出すことです。
あの苦しみに比べたら、今の自分の苦しみなんて屁みたいなもんだ、と思って絶対に歩かないことです。
思い浮かべるのは今の自分より苦しかったころの自分でも他人でも良いので、とにかく歩かないことです。
そしてその日に設定した距離(時間)を走り切ることです。
練習は決められたゴールがありませんので、簡単に妥協出来てしまうのですが、楽を覚えてしまうとメンタルは鍛えられません。
練習で折れやすくなった心は、本番でもポキッといってしまうでしょう。
ただし、痛みが出た場合は絶対に無理は禁物です。痛みの場合、走りたい気持ちを抑えて練習を切り上げることもメンタルの強化です。
・まとめ
持久力には、頑丈な身体・心肺能力・精神力の3つの要素が必要です。
長い距離を走る際はかなりの衝撃が足、特に膝に蓄積されます。
トレーニングにより筋力をつけ、体重を減らすことで衝撃を緩和させて完走するに十分頑丈な身体にしなければなりません。
長い距離を走るには効率的に酸素を身体全体に運び、燃料を燃焼させてエネルギーを生む必要があります。
LSDを練習に取り入れてVO2max値(心肺機能そのもの)を底上げし、息を吐き切る呼吸法で新鮮な酸素を肺にそして全身に取り込むようにしましょう。
それらを手に入れても、最後の最後は気合い・精神力・根性論です。
方法は様々でしょうが、普段の練習から妥協を許さずメンタルを鍛えましょう。
最後に勝つのは、やっぱり気持ちの強さですね。