初心者の私がとりあえず1年間株式投資を始めてみて、一番難しいと感じた事。
それは銘柄選定やエントリーのタイミングではなく、圧倒的に売り時、手仕舞いのタイミングでした。
株を手放す場合、購入したときよりも値下がりしている「損切り」と値上がりしている「利益確定」の2パターンあると思いますが特に難しいのが後者の利益確定でしたね。
明日はもっと値上がるかもしれないという期待と、明日暴落するかもしれないという恐怖感の板挟みに揺らぎつつ、いったいいつ売れば良いのか?という思いに毎日悩まされていました。
単純に購入単価より何%上がったら利確、何%下がったら損切りというルールを設けて機械的にトレードするという方法もあるでしょう。
しかし、相場には様々な要素が絡み合っていて、ルールに則ってトレードするだけでは確実に上手くいきません。
そこで、保有期間と保有数量、損益により図のような8のカテゴリーに分けてそれぞれの売り時を考えてみたいと思います。
一応自分の保有銘柄とその状況に合わせて考えてみます。
ここでいう保有期間の短期とはデイトレードから5日程度のスイングトレード、または最大1ヵ月程度の保有だと思ってください。
長期はそれ以上の期間を保有する銘柄です。
カテゴリーは単純に分けられますが、相場に影響を与える要素はそんな簡単ではないというのは前述した通り。
ざっと思いつくだけでも以下のような要素があるでしょうか。
相場に影響する要素
地合い:
今日は地合いが良くて市場全体がグングン上がった。なんていう事が良くありました。もちろんその逆も。
例えばNYダウの急伸に引きずられて、とかであれば説明も付くのですがそうでもなかったりするのでややこしいです。
個別株の値動きだけでない、市場の雰囲気という感じでしょうか。
材料:
決算やIRなどで値動きがあるのは当たり前ですが、好決算でも必ず上に行く訳ではないのが不思議でした。
中には分割、増配、自社株買いというプラスに働くであろう材料で翌日大暴落なんてことも。
初心者からすると、「材料出尽くし」「市場は織り込み済み」という謎のワードに何度してやられたことでしょう。
トレンド:
材料の良し悪しよりも、長期トレンドの方が勝ったりもします。一時的な反応を見せても結局は長期トレンドに沿って動いていくことの方が多い気がします。
チャート:
短期的な動きであれば、トレンドよりもチャートの方に気を遣うべきでしょう。下がっていても移動平均線をサポートラインに反転して結果押し目だったなんて良くある事でした。
環境:
今年は特にコロナウィルスの影響で様々な銘柄が色々な思惑で売買されました。
他にも脱炭素やDXなどのテーマ株も暴騰しましたね。
もちろんこれら以外にも、売り時を考える上で景況感や為替、地政学リスクなど様々な要因があります。
去年に関しては結局開催されなかったオリンピックやアメリカ大統領選挙などももちろん影響しますね。
売り時を考えるのに個人的に影響するもの
先ほどまでは相場全体の話でしたが、売り時を考える上で自分自身を取り巻く環境という要素もあります。
どちらかというと、こちらの方が強く影響するのではないでしょうか。
メンタル:
チャートやトレンドから、明らかに売り時と分かっていても強烈に感情が邪魔をしてきます。いずれ上がる、損を確定したくないという感情は正しくメンタルの弱さに違いありません。
利益確定の遅さも欲という感情、すなわちメンタルに他なりません。
ポートフォリオ:
自身の保有銘柄の全体を見ると、想定から大きく値動きしたためにある一定のセクターの割合が上がったなどという事もあるでしょう。
セクターの片寄りはいずれ資産全体のリスクとなり得ますので、一旦売却という選択肢もありますね。
長期保有条件:
配当や優待の権利確定までついつい保有してしまうという事は「初心者あるある」でした。どう考えても今売った方が良いのに、権利確定を待ってしまい貰う配当金以上に損を膨らませることも。
これが特に長期保有で優待内容が拡充する銘柄であれば尚更です。あと数日で1年保有の優待が貰えるけど、様々な要素が売り時を示しているなんていう場合、強いメンタルで手仕舞い出来る自信が私にはありません…
これらも一例であり、子供が予定外に私立に進学した、交通事故で車が全損した、自分や配偶者の退職・転職で収入が変化したなど急な入用が出来た際なども売却を検討するでしょう。
以上のことを念頭に置きつつも、最初に展開した8つのカテゴリー別に売却のタイミングを考えていこうと思います。
カテゴリーNo1:短期100株損切りパターン
保有期間: 短期
保有数量: 100株
損益: 損切り
私の一番多い失敗がこの例です。何となく上がってきた銘柄に順張りでエントリーし、特にシナリオもないため利益が出ている時点で利確出来ず、スルスルと下落に転じても損切り時も決められず、含み損が膨れて慌てて損切るパターンです。
こちらタマホーム(1419)はコロナショックの底値から回復し、500円クオカードの優待と高配当の権利確定に向けて上昇していた5/15に1,354円でエントリー。
一時含み益が1万円を超えるも権利落ちで当然のように全て吐き出し、止まらない下落に慌てて1,244円で売却。
最終的には11,000円の損切りとなりました。
打診買いとして100株というのは少なくないケースだと思います。しかし、どんなケースだとしてもシナリオは必須ですね。
この場合、配当やクオカード目当てで上昇する利鞘を抜くのか、配当・優待を貰った権利落ち日に売却するのか、は最低限決めておくべきでした。
今回は権利付最終日に手仕舞っても、権利落ち日の寄りで売っても、どちらも利益は出ていたのですがシナリオがなかったばかりに最悪の(配当・優待以上の)損切りとなりました。
但し、一番の正解はファンダメンタルズを分析し、財務健全性を信じてガチホでしたね。
好調な日経平均に引き摺られて株価は一時1,900円を超えるシーンもありました。
この時の反省を踏まえ、安値で再度エントリーした100株を今はガチホして含み益出せています。
100株の短期保有は良くあるシチュエーションなだけに、ケースに合わせて柔軟に動く必要があると言えるでしょう。
だからこそ事前のシナリオがいかに重要かが分かりました。
カテゴリーNo2:短期100株超損切りパターン
保有期間: 短期
保有数量: 200株以上
損益: 損切り
このシチュエーションとして多いのは、値上がりを確信した銘柄の本気買いといったところでしょうか。しかし思惑は外れて落ちるナイフで下落を続けている残念な感じです。
私の例で言うと、西武ホールディングス(9024)です。
コロナ禍で鉄道銘柄が軒並み暴落していましたが、夏場に感染者数が落ち着きを見せた事、Go Toキャンペーンなどで復活を信じてナンピンを繰り返したのですが再上場以来初となる800億もの赤字を発表し、その後の下降トレンドは目も当てられませんでした。
自分で分析た銘柄であれば、ある程度勝負をかけて集中投資することもあると思います。そして保有枚数を増やす為、平均取得単価を低くする為に下落トレンドにおいてナンピンを仕掛けることも必要でしょう。
しかし、予想が外れた場合短期で大幅な含み損が出てしまう諸刃の剣な手法です。
このケース、売るか売らないか考えた場合どう見ても損切りだと思います。損失が拡大して売るに売れないいわゆる塩漬け状態になる可能性が極めて高いです。
特に保有数量が多い場合、少しの下落も資産に与える影響が大きい訳ですから、手遅れになる前の損切りが必須ですね。
とは言え底値まで耐えてナンピンし続ければ、トレンドが反転した後大きな利益となる事もある為手放したくない気持ちになってしまうのも事実。
感情として難しいのですが、やはり落ちる途中のナイフに手を出すより一旦手仕舞いしておいて、落ち切って刺さった所で改めて拾い直す方が傷は浅く済むでしょう。
カテゴリーNo2では、打診買いよりも傷が深く保有を続けたくなっているメンタルのためスパッと損切りするのが嫌な心理状態です。
しかし、保有数量が多いだけにこれ以上の下落が致命的になる前に潔く損切りした方が結果的に良かったとなりそうですね。
そういう意味では、コロナショック第2波という大きな壁に跳ね返され、短期的にも長期的にも想定外となった西武ホールディングス600株を全て損切り出来たのは、高い授業料でしたが成長という意味では有意義でした。
実はここ数日株価は復調基調にあります。損切りして資金を他に回し、復調して上昇する株に再エントリー出来れば上手く立ち回ったことになるのでしょうか???
カテゴリーNo3:長期100株損切りパターン
保有期間: 長期
保有数量: 100株
損益: 損切り
個人投資家が最低単元で長期保有を前提に投資する場合は、恐らく値嵩株ではないでしょうか。
そんなに多く買えない額の場合でも欲しい銘柄であれば頑張って100株ですよね。
そして初期投資額が大きい分、大きく下落した場合の金額的ダメージも相当です。しかし、そんなリスクを背負ってまで買うのですから期待は高い訳ですよね。高い額を出してでも、リターンを期待できるから買うのです。
しかし、そうは問屋が卸さらないのが個別株投資の世界。私の手持ちでは花王(4452)がこれに当たります。
このケースは非常に判断が難しいと思いました。
狙いは12月の権利確定に向けてキャピタルとインカムの両取りでした。
ところが実際は7千円台前半まで落ち、8千円を上値に完全なボックス相場。
シナリオは12月に向けての上昇期待でしたが、一向にその気配がありません。
しかし相手は超優良銘柄の花王。このまま我慢してホールドすれば必ずや上がるはず。
という期待もむなしく権利月に入っても全くそぶりを見せない株価に業を煮やして損切りとなりました。
シナリオありきで、それに沿わなかったから損切り、なので一見失敗は無いように思えるのですが、問題は花王が結構な値がさ株であること。
1千円、2千円の株であればシナリオ通りの期間引っ張っても良いのですが、結果論ですが80万円近い資金が機会損失してしまいました。
値がさ株の場合、必ず上がるという確信があれば長期保有もありですが、権利月までには上がるだろう程度の弱い期待であればもっと短期に見切りを付ける第2のシナリオがあっても良かったかもしれません。
いやー、売り時って本当に難しいです…
長期保有を前提に購入した銘柄が予想外に下落してしまった場合、当初のシナリオ通り気長に値上がりを待つこともありでしょう。
しかし値嵩株の場合、その時点での金額的損失も大きなものです。いつ来るか分からない反転を期待して広がる含み損にストレスを抱えるより一旦損切りして資金を移動してしまった方が良いのかもしれませんね。
カテゴリーNo4:長期100株超損切りパターン
保有期間: 長期
保有数量: 200株以上
損益: 損切り
長期保有で数量が多い銘柄は、おそらく自分の中で確固たるシナリオがあり、多少のマイナスでは動じないべきでしょう。
私の保有銘柄では、いい生活(3796)がこれに当たります。
DX化の進んでいない不動産業界にIaaSやSaaSでサブスクのストックビジネスを持ち込みIRもバンバン出していて時価総額は50億程度。
3年保有の超長期で最低でも2倍、あわよくばテンバガーを期待して今年の株価には一喜一憂するつもりはありません。
こういう銘柄の売り時は、1:シナリオ通りの結果になった時と2:シナリオそのものが崩れた時の2択で良いでしょう。
1は説明する必要はないと思いますが、期限と価格の両面で見ることは重要ですね。
例えば10年で2倍を目指すシナリオならば、3年で結果を得られれば売却で良いと思います。
が、10年で2倍、あわよくば10倍を目指すシナリオであれば、3年経過時点で2倍の成果であれば10年は経っていないのでそのまま10倍を目指すのもありだと思います。ただこれは欲との闘いになりそうですね。2倍を達成した以上、それ以降の含み益はシナリオ的には想定外のご褒美ですから10年我慢できそうもありません。
やはりシナリオは期限と価格を両方きちんと設定した方が後の行動は楽になりそうです。
シナリオに設定した金額や期限になる前であれば、信じてホールドで良い訳ですから。
逆にシナリオ通りにいかなかった場合はどうでしょう。設定した期間が経過し、設定した金額にならなかった場合に当たりますね。
まあここは素直に手仕舞いでしょうか。もちろん期間を延長することで達成の見込みが望めるのであれば保有する内の何割かを売却し、残りをホールドという作戦も柔軟に取れるでしょうけれど。
それからシナリオそのものが崩れた場合。私の場合すかいらーく(3197)がそれに当たります。
2,148円というとんでもない高値で掴んでしまいましたが、500株保有していれば年間33,000円分の食事券が貰えるので、10年保有して娘が一緒に食事に行ってくれなくなったら手仕舞いしようというシナリオでした。
であれば、配当と優待で10年後の株価が最悪1,298円でもトントンという事でどんな暴落でも耐えてきましたが、無配転落・優待改悪のダブルパンチでノックアウト。
少しでも回復してくれた1/28に400株売却、痛い損切りとなった次第です。
実はこのシナリオ崩れにおいても、私はミスをしています。9/10の優待改悪発表で株価は暴落、1,500円を切った時点で損切りするべきなんですよね。
しかし実際は12月の権利月に向けて上昇するだろうとシナリオ自体を切り替えてホールドという悪手に出たのです。
そして12月の権利月に向かって確かに少しだけ上昇はしましたが、何とここでも売らずにホールドし、結果年明けには再度の1,500円切りという最悪の結果。
結局はここから謎の大暴騰というまさかの値動きにより1,700円台後半で売却というミラクルを起こせたのですが、これはラッキー以外の何物でもありません。
シナリオを2回も反故にしていれば、通常は大損失で終わる所でしょう。反省です。
さて、ここまでカテゴリー1~4の損切りパターンを検討してみました。
思った以上に記事も長くなってしまいましたので、前半戦は損切り、後半戦は利確という事にしたいと思います。
私の中では損切りパターンよりよっぽど難しいのが利益確定のタイミングでした。
ここをしっかり振り返ることで、今後の投資に活かせていきたいです。