【株】ガラス・土石製品の銘柄分析/検討:その1 カーボン3社【高配当PF】

高配当ポートフォリオ入りを目指す銘柄分析第6回目はガラス・土石製品のセクター。

毎度おさらいになりますが高配当ポートフォリオの候補を探す上で指定した値は以下です。

PER(株価収益率)     ~15
PBR(株価純資産倍率)   ~1.05
ROE(自己資本利益率)   10~
ROA(総資産当期利益率)  5~
配当利回り         3.7~
自己資本比率        40~
流動比率          120~

6月中旬に高配当ポートフォリオ候補を選出した時点では候補銘柄は4社だったのですが、7月に入って株価(TOPIX)はやや下落傾向だったこともあり7/12現在6社に増えていました。そこで再度ふるいにかけ、1社を落として5社での検討をしていきます。

候補銘柄は以下となっています。

ガラス土石製品リスト

5社を一気に見ると大変なので、2回に分けようと思います。幸い、社名にカーボンが付いている銘柄が3社ありますのでこちらを1括りにしていきます。
それではカーボン3社を1つずつ見ていきます。

(5301)東海カーボン

【特色】炭素製品大手。タイヤ用カーボンブラックで国内首位。電炉用電極や半導体・太陽電池用素材も
【連結事業】黒鉛電極35(43)、カーボンブラック39(8)、ファインカーボン12(20)、精練ライニング6(-11)、工業炉関連他9(13)【海外】74 <19・12> ※会社四季報オンラインより

業績を見てみましょう

東海カーボン 業務

売上高は2019年、それ以外は2018年が過去最高をマークしているので、コロナショックもあった2020年は成績も落ち込むのも仕方ないでしょう。
売上高こそ前年比4.1%とそこまででもないですが、それ以外は軒並み半分近く落ち込んでいます。このまま予定通り配当金を出すとなると、32%だった配当性向も61%と跳ね上がります。減配無しで予定通りと行くでしょうか。

キャッシュフローはどうでしょう

東海カーボン キャッシュフロー

毎年営業CFはプラスですので、しっかり利益は稼いでいるようです。ただ、昨年は投資にかなり投入しており現金比率も減少しています。
このまま業績予想通りに推移してしまうと、残念ながら減配という可能性が見え隠れしていますね。

財務状況を見てみます。

東海カーボン 財務状況

1株純資産は順調に上昇しているのですが、自己資本比率はかなりの勢いで逆に減少しています。その分有利子負債倍率も増加しており堅調な財務状況でなくなりつつあるのかなあというのが現状から見て取れます。

バフェットコードからグラフもチェックします。

東海カーボン 各種グラフ

パッと見で営業利益率の大幅な落ち込みが目を引きます。最初の売上高&収益性のグラフに関して、収益性の折れ線グラフの下がりっぷりもやはり気になりますね。

 

(5302)日本カーボン

【特色】炭素製品大手。電炉向け電極、半導体やリチウムイオン電池向け製造。航空機用はGE等と合弁
【連結事業】炭素製品関連92(34)、炭化けい素製品関連5(17)、他2(16)【海外】46 <19・12> ※会社四季報オンラインより

業績を見てみましょう

日本カーボン 業務

東海カーボン同様、売上高は2018年に過去最高をマークしているので、昨年やや下落、コロナショックの2020年はかなり落ち込んでいます。
絶好調だった2018年の業績で配当金を倍増させているので、このまま減配しないとすると配当性向は80%近くなってしまいます。
もちろん中には減配しないために一時的に配当性向が高くなっても構わないという経営者もいるでしょうが、業績が良ければ増配、悪ければ減配というスタンスだとポートフォリオ候補には入れづらいですね。

キャッシュフローはどうでしょう

日本カーボン キャッシュフロー

18年から19年に営業CFが3分の1に激減しているのが気になります。とは言え17年よりは増えているので18年が相当良かったのでしょう。
しかし20年はさらなる悪化が見えているので、やっぱり減配というキーワードがちらつく感じです。

財務状況を見てみます。

日本カーボン 財務状況

18年から19年に自己資本比率が急増していますし有利子負債倍率も減少しています。過去最高の売り上げで長期の借入金を完済したのでしょうか。
もともと40%台の自己資本比率がかなり安全圏の60%近くになっています。ただ、やはり今後どうなっていくのかが重要でしょう。

バフェットコードからグラフもチェックします。

日本カーボン 各種グラフ

東海カーボンもそうでしたが、この業界は業績が良いと配当を倍増する決まりでもあるのでしょうか

一気に増額するからちょっとの悪化でも配当性向が大変なことになります。

おそらく業績の良し悪しによって配当額を都度調整するのでしょう。ちょっと高配当ポートフォリオ候補には厳しい傾向です。

 

(5304)SECカーボン

【特色】独立系炭素製品の大手。アルミ製錬用電極で世界シェア4割超、電炉用電極も。海外比率6割
【連結事業】アルミニウム製錬用カソードブロック38、人造黒鉛電極47、特殊炭素製品12、ファインパウダー及び他炭素製品3【海外】63 <20・3> ※会社四季報オンラインより

業績を見てみましょう

SECカーボン 業務状況

前の2社同様配当金が200円→300円と1.5倍増ですか。その前は55円→200円と4倍弱の増配、9円→55円と6倍。

このセクターは派手ですね。

2017年からの売上高は割と順調に上昇しているようにも見えますが2016年→2017年は大幅下落のようです。
その年の配当金も10円とこちらもその年の利益に準じて大幅に上下する傾向なのでしょうか。

キャッシュフローはどうでしょう

SECカーボン キャッシュフロー

こちらも前の2社同様しっかり営業CFがプラスです。とは言え年によってかなりバラつきがあるので安定的とはいきませんね。

財務状況を見てみます。

SECカーボン 財務状況

 

2社に比べて圧倒的に良いのは自己資本率の高さです。18年から若干悪化しているとはいえ20年は84%。しかも無借金経営ですね。
他の指標も軒並み上昇しているので、財務の状況からだとすこぶる良い会社に見えます。

バフェットコードからグラフもチェックします。

日本カーボン 各種グラフ

非常に高いROE・ROA、安心の自己資本比率、去年ですが高い配当金に対して低い配当性向とかなり魅力ある会社のようです。
2012年から2018年への右肩下がりの業績悪化が嘘のようですね。
無借金でもあり、倒産リスクは本当に低いでしょう。

 

まとめ

まず東海カーボンです。2020年はコロナもあって業績が落ち込むのは仕方ないとして、様々な値が減配のリスクが高いことを示唆しているように見えてしまいます。こちらをポートフォリオに入れる優先度は低いでしょう。一応他にはない特色として株主優待があり2000円相当のカタログギフトが貰えるようです。

続いて日本カーボン。こちらも東海カーボン同様減配リスクが見え隠れしています。業績が良いときは配当金を上げ、悪いときは下げる。メリハリのある特徴かもしれませんが保有し続けて配当金を貰う高配当投資には向きませんね。

そしてSECカーボン。業績によってではありますが高いリターンが見込めて、世界シェア4割強という強いビジネスモデルもある。
倒産リスクは極めて低そうで収益性も申し分ない。一見弱点が見当たりません。通常の投資先としては申し分ないでしょう。
ただし、高配当投資は安定的に配当が見込めないと務まりません。
このまま右肩上がりもしくは最低横這いで業績が推移してくれれば良いのですが、株価もかなり高いためちょっと躊躇してしまいますね。

 

最後にチャートを見てみます。

最初に東海カーボン

東海カーボン チャート

コロナ前の株価以上に回復し、その後は下落傾向のようです。

続いて日本カーボン

日本カーボン チャート

東海カーボンと似ていますがコロナ前の株価を回復する前に再び下降気味という感じでしょうか。

最後にSECカーボン

SECカーボン チャート

 

前2つとはだいぶ異なるチャートです。

2020年1月をピークにコロナ前には既に下落が始まっていたと言えます。

なので、様々な金融政策等で大復活を遂げた一連の上昇トレンドにも乗り切れていません。逆にコロナが無かったとしても、これが正常な値動きだったのでしょうか。

大復活に乗れていないということは、今も底値に近い値段にいると言い換えられます。高配当投資としては株価が安ければ安いほど利回りが高くなるので良いのかもしれませんが、やはりあのメリハリのある配当金を見てしまうと、株価が高いだけにポートフォリオに入れるのは怖いですね。

※この分析に使用した指標は7/12時点の値です。現在のものとは異なります。

※投資は自己責任でお願いします

カーボンイメージ
最新情報をチェックしよう!